「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
その中でも目玉の「正社員化コース」について説明いたします。
支給対象事業所
○雇用保険適用事業所の事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた※事業主であること
※ キャリアアップ計画書は、コース実施日までに管轄労働局長に提出してください。
※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。
○ 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
○ キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
支給金額
○ 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成
< >は生産性の向上が認められる場合の額
( )内は中小企業以外の額
① 有期 → 正規:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
② 有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
③ 無期 → 正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
<①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで>
キャリアアップ助成金の支給までの3つの要点
それでは、問題なく支給ができるよう、どのような点に気を配るべきでしょうか?
ここでは
(1)キャリアアップ計画策定をしっかりと
(2) 賃金台帳、就業規則など必要書類をきちんと揃える
(3) スケジュールの管理を徹底する、の3つについてご説明します。
キャリアアップ計画策定をしっかりと
「キャリアアップ計画書(様式第1号)」の提出が必要になってきます。特に難しくはありません。
こちらので記入例をアップ致します。ご参考に。
⑦、⑧について就業規則に追記する部分と相違がないように。計画書では、「試験をして合格及び面接後正社員とする」と記述していたのに、就業規則ではレベル1(一般社員)の人事評価基準がCランク以上」とあると支給申請の審査時にチェックが入る恐れがあります。
しっかりと、書類を揃えて提出しましょう。
賃金台帳、就業規則などの書類を揃える
先ほどにも記述しましたが、申請書と就業規則は合わせましょう。
就業規則も変更したあとは、労働基準監督署に持っていき受付印をしっかりと押してもらう必要があります。受付印がないと支給申請のときに預かってくれません。
管轄する労働基準監督署または地方運輸局(運輸監理部を含む)に届出された就業規則。
常時10人以上の労働者を使用する場合
労働基準監督署に提出する。2部提出し、1部に受領印をもらう。
常時10人未満の労働者を使用する場合
キャリアアップ助成金の場合は、就業規則の実施について
事業主と従業員全員の連署による申立書を添付していれば、管轄する労働基準監督署または地方運輸局(運輸監理部を含む)への届出は必要ありません。
賃金台帳、出勤簿もしっかりと用意しましょう。
賃金台帳は、残業代がしっかりと支払われているのかをチェックされます。
週20時間以上働いているのであれば、雇用保険が掛かっているのか?30時間以上であれば、社会保険、厚生年金が掛かっているのかをチェックされます。
また、審査する場所によっては、雇用保険料率が適正、月変がしっかりとされているかを審査されます。
労働条件通知書も作成されているのも必須です。その通知書通りに給与が支払われているのか?チェックされます。
採用時1通と正社員雇用転換後の1通と2種類の労働条件通知書が必要になってきます。
正社員の労働条件通知書で以下の条件をクリアしてくださ。
①フルタイムでの勤務
②法人なら社会保険は加入は必須
③契約期間は無期
就業規則、労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿がしっかりと用意されていることがポイントです。
スケジュールの管理を徹底する
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非常に時間が掛かります。
採用後、6カ月
面談等をして6カ月で正社員雇用転換する。
そして正社員としてから6カ月後に支給申請をするようになります。
採用後、1年経過が必要です。
6カ月後から2カ月以内での支給申請の為、2カ月しか猶予がありません。
1日での遅れていると受理されません。
複数名、入社時期や正社員転換時期が異なると忘れる可能性があります。
そのためには、スケジュール管理を徹底する必要があるのです。
マトメ
押さえるところをしっかりと押さえさえすれば、
社員を採用する時ごとに
1人当たり57万円<72万円>の助成金を受け取ることができます。
そのため
社内書類整備が非常に重要となってきます。
ただし、あくまで正社員として採用する方は対象となりませんのでお間違えないように。